この寺について
真言宗豊山派の総本山。西国三十三所第8番の札所。本尊の十一面観世音菩薩立像(高さ約10メートル)は日本最大級の木造仏で、「長谷寺式十一面観音」と呼ばれる独特の姿は全国の観音信仰の原点となった。山号は豊山(ぶさん)、院号は神楽院(かぐらいん)。「花の御寺」として知られ、なかでも境内を彩る約7,000株の牡丹(ぼたん)は寺の代名詞。桜や紅葉も美しく、四季を通じて多くの参拝者が訪れる。
歴史・由来
この寺を理解する鍵は、二つの丘にまたがる創建の伝承にある。寺の伝えによれば、朱鳥元年(686年)、僧・道明(どうみょう)が初瀬山の西の丘に、天武天皇のために作られた銅板法華説相図(どうばんほっけせっそうず)を安置し、三重塔を建てたのが始まりという。その約40年後の神亀4年(727年)、僧・徳道(とくどう)が聖武天皇の勅命を受けて東の丘に十一面観音像を造り、祀ったと伝わる。現在の本尊・十一面観世音菩薩は、この東の丘の観音像の系譜にあたる。ただしこれらの創建の経緯は正史には見えず、寺に伝わる由緒であることに留めておきたい。
「初瀬(はせ)」「泊瀬(はつせ)」と呼ばれる山あいの地に建つこの寺は、「長谷」という地名そのものの由来にもなっている。平安時代、右手に錫杖、左手に蓮華を挿した水瓶を持つ独特の姿の本尊は「長谷寺式十一面観音」と呼ばれ、全国の十一面観音信仰の原点となった。鎌倉の長谷寺(既存)や飯山観音長谷寺(既存)をはじめ、全国に広がる数多くの「長谷寺」は、この寺から分霊を受けて生まれたものである。
『枕草子』『源氏物語』『更級日記』など、平安文学にもたびたび登場し、京の貴族たちの参詣先として描かれてきた。当時、奈良からさらに山深いこの寺への参詣は「長谷詣で(はせもうで)」と呼ばれ、一大旅行として親しまれていた。
寺は中世を通じてたびたび火災に見舞われ、室町時代の天文5年(1536年)までに計7回焼失したと伝わる。江戸時代に入り、徳川幕府の支援を受けて再興が進み、正保2年(1645年)から工事が始まり、5年をかけて慶安3年(1650年)に現在の本堂が完成した。この本堂は2004年に国宝に指定されている。
山号は豊山(ぶさん)、院号は神楽院(かぐらいん)で、正式には「豊山神楽院長谷寺」という。真言宗豊山派の宗名は、この山号に由来する。
「ぼたんの寺」としても全国的に知られ、境内には約7,000株の牡丹が植えられている。4月下旬から5月上旬の「ぼたんまつり」の時期は、関西を代表する花の名所として多くの参拝者でにぎわう。
見どころ・特徴
桜井市の山あい、初瀬の地に位置する。
最大の見どころは「登廊(のぼりろう)」。仁王門から本堂まで続く、屋根付きの石段399段、全長約200メートル。身分に関わらず誰もがこの登廊を昇って本堂に至る、参道としてはたいへん珍しいつくりで、平安時代以来の姿を今に伝える。下登廊・中登廊・上登廊の三廊に分かれ、下登廊と中登廊は明治22年(1889年)の再建。風雅な長谷型の灯籠が吊るされている。
「本堂」(国宝)は正保2年(1645年)に着工し、慶安3年(1650年)に完成した。京都・清水寺と同じ「懸造り(かけづくり)」と呼ばれる、崖に張り出した舞台のある構造で、初瀬の山々と門前町を一望できる。
本堂内陣の「十一面観音菩薩立像」は像高約10メートル。日本最大級の木造仏像で、長谷寺式十一面観音の原型とされる。年に数回の特別拝観では、像の足元に上がり、身体に直接触れて「結縁(けちえん)」できる。
「五重塔」は昭和29年(1954年)の再建で、戦後日本で初めて建てられた本格的な五重塔。純和様式で、檜皮葺(ひわだぶき)の屋根が特徴。
「ぼたんまつり」(4月下旬〜5月上旬)は長谷寺の代名詞。境内一面に咲く約7,000株の牡丹が、初瀬の山あいを彩る。6月のあじさい、11月の紅葉と、四季を通じて花の名所として親しまれている。
参拝の後は、初瀬街道の門前町や、近隣の安倍文殊院(あべもんじゅいん、文殊菩薩で有名)、室生寺(既存)と組み合わせて訪ねると、奈良県東南部の山岳信仰の広がりを味わえる。
年中行事・お祭り
【だだおし】例年2月14日ごろ
修二会の締めくくりとなる大きな法要。松明を持った鬼が本堂の周りで暴れる勇壮な行事として知られる。
【修二会(しゅにえ)】例年2月8日から14日
一年の人々の罪を懺悔する法要が、毎日午後2時ごろから営まれる。
【本尊開帳法要】例年1月1日
新年に観音さまへ一年の安泰を祈る法要。
【星まつり】例年1月28日から2月3日
一人ひとりの運勢向上を願う法要。
【花まつり(灌仏会)】例年4月8日
お釈迦さまの誕生を祝う行事。
【ぼたんまつり】例年4月18日から5月10日
境内一面に牡丹が咲き誇り、さまざまな記念法要や催しが行われる、長谷寺を代表する行事。
【観音万燈会】例年12月31日から1月1日
参道が燈明で彩られ、観音さまに灯りを供える。
開催日・開催有無・時間は変更される場合があります。お出かけ前に必ず公式サイトでご確認ください。
※ 開催日・開催有無は必ず公式サイトでご確認ください。
学び・特徴
主祭神
十一面観世音菩薩
社格
真言宗豊山派総本山。西国三十三所第8番札所。山号は豊山(ぶさん)、院号は神楽院(かぐらいん)。正式名称は豊山神楽院長谷寺。
創建
朱鳥元年(686年)、道明(どうみょう)が初瀬山の西の丘に三重塔を建てたのが始まりと伝わる。神亀4年(727年)、徳道(とくどう)が東の丘に十一面観音像を祀ったのが、現在の本尊の起源とされる。いずれも寺伝によるもので、正史には記載がない。
ご利益
縁結び子宝・安産厄除け
テーマ
牡丹桜紅葉
この場所を巡る軸
基本情報
住所
奈良県桜井市初瀬731-1
参拝時間
4月から9月は8時30分から17時まで。10月・11月と3月は9時から17時まで。12月から2月は9時から16時30分までです。牡丹まつりの時期などは延長されることがあります。拝観料は大人・中高生500円、小学生250円です。
⚠️ 情報が古い場合があります。最新の受付時間は公式サイト等でご確認ください。
アクセス
近鉄大阪線「長谷寺」駅から徒歩約15分です。
車の場合、大阪方面からは西名阪自動車道の天理インターチェンジ、名古屋方面からは名阪国道の針インターチェンジで下り、国道を経由して門前町へ向かいます。途中に駐車場があります。台数や料金は変更されることがあるため、事前に公式サイトでご確認ください。
記念メダル
スポットの近く(200m 以内)で位置情報を有効にしてチェックインすると獲得できます。
参拝記録
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