この史跡について
一石橋迷子しらせ石標(いちこくばしまいごしらせせきひょう)は、東京都中央区八重洲一丁目、日本橋川(にほんばしがわ)に架かる一石橋のたもとに立つ石の標識です。
江戸時代の終わりに近い1857年(安政4)に建てられました。迷子(まいご)や人探しの手がかりを紙に書いて貼り、町の人たちが情報を出し合った、いわば江戸の掲示板です。
東京都の有形文化財(歴史資料)に指定されています。同じ橋のたもとには、大正時代に造られた橋の親柱(おやばしら)も1基残っています。
歴史・由来
江戸の日本橋から一石橋のあたりは、人が集まるにぎやかな場所でした。そのぶん迷子になる子どもや、人を探す人も多かったと伝えられています。
当時は、迷子を保護する役目を町内が負っていました。中央区の説明では、日本橋西河岸町(にしがしまち)の家主(やぬし)の代表らが南町奉行所(みなみまちぶぎょうしょ)に願い出て許可を受け、1857年(安政4)2月に石標を建てたとされています。東京都の資料では、近くの町名主(まちなぬし)らが世話人になって建てたと説明されていて、世話をした人たちの呼び方は資料によって少し違います。
迷子の保護は、町ごとの当番役である月行事(がちぎょうじ)が受け持ち、かかる費用は町の運営費にあたる町入用(ちょうにゅうよう)から出されたと中央区は説明しています。石標は、こうしたしくみを支える道具でした。
【橋と親柱】
一石橋は、江戸城の外堀と日本橋川が出会うところに架かる橋です。大正11年(1922)に木の橋から、花崗岩(かこうがん)を張った鉄筋コンクリートの二連アーチ橋に架け替えられました。その後、昭和から平成にかけての改修で、橋そのものは鋼鈑桁橋(こうはんけたばし)になっています。
大正11年に造られた花崗岩積みの親柱は、いまは八重洲側のたもとに1基残っています。全高は約1m30cmで、中央区の区民有形文化財(建造物)として2002年(平成14)4月1日に登録されました。
【橋の名の由来】
一石橋という名前には、諸説あります。
ひとつは、橋の北に金座(きんざ)を取りしきる後藤庄三郎(ごとうしょうざぶろう)、南に幕府の呉服(ごふく)御用を務める後藤縫殿助(ごとうぬいどのすけ)の屋敷があり、この二人の「後藤」を「五斗(ごと)」にかけたという説です。五斗と五斗を合わせると一石(いっこく)になる、という江戸っ子らしい語呂合わせです。
もうひとつは、江戸の僧が書いた『十方庵遊歴雑記』(じっぽうあんゆうれきざっき)に紹介されている説です。幕府が使うことを禁じた永楽銭(えいらくせん)を集めるとき、この橋で米俵を積み、永楽銭一貫文と玄米一石を取りかえたことが名のもとになったといいます。どちらが正しいかは、はっきり分かっていません。
見どころ・特徴
【石標のかたち】
花崗岩でできた四角い柱の形をしています。本体の高さは約161cm、幅は約36cm、奥行きは約34.5cmで、台石の上に立っています。
【刻まれた文字】
正面には「満よひ子の志るべ」と刻まれています。「まよいごのしるべ」と読みます。もとは刻んだ文字に朱が入れられていたと中央区は説明しています。
左の側面には「たづぬる方」、右の側面には「志らす類方」の文字があります。右の文字は、中央区の説明では「しらする方」にあたります。
【くぼみの使い方】
どの側面にも、上のほうに屋根のついた四角いくぼみがあります。親が迷子の特徴を書いた紙を「たづぬる方」のくぼみに貼り、町内で保護している迷子の知らせや心当たりのある人の知らせを、もう一方のくぼみに貼りました。
【橋のたもとという場所】
石標が立つのは、一石橋の南西のたもとです。このあたりは、日本橋や東海道ぞいのにぎやかな町に近い場所でした。一石橋は、周りの八つの橋が見わたせたことから「八つ見橋(やつみばし)」とも呼ばれたと、中央区は紹介しています。
【周辺を歩く】
東京都の「八重洲散策コース」では、この石標のあと、常盤橋門跡(ときわばしもんあと)、日本銀行本店本館、三井本館、三越日本橋本店と進み、日本橋へと歩くコースが案内されています。同じ日本橋エリアの文化財を、あわせて見て回ることができます。
【見学のときに】
一石橋は、首都高速道路の日本橋区間の地下化事業にあわせて架け替えが予定されていて、完了は2040年度の予定と首都高速道路株式会社が案内しています。2024年3月には、一石橋の歩道が当面のあいだ通行止めになるとの案内も出されました。お出かけの前に、最新の状況をご確認ください。
学び・特徴
指定・選定
東京都指定有形文化財(歴史資料)。1942年(昭和17)9月30日指定。同じ橋のたもとの「一石橋の親柱」は、中央区の区民有形文化財(建造物)として2002年(平成14)4月1日に登録されています。
成立・年代
1857年(安政4)2月に、日本橋西河岸町の人びとが建立(中央区の説明)。
基本情報
住所
東京都中央区八重洲1丁目11番先
見学時間
橋のたもとの屋外にあります。見学できる時間の制限は確認できていません。工事の状況もあるため、お出かけ前に首都高速道路株式会社などの最新の案内でご確認ください。
⚠️ 情報が古い場合があります。最新の受付時間は公式サイト等でご確認ください。
アクセス
地図でご確認ください。日本橋川に架かる一石橋の南西のたもと(八重洲一丁目11番先)にあります。
訪問記録
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