この史跡について
日本橋(にほんばし)は、東京都中央区の日本橋一丁目と日本橋室町(にほんばしむろまち)一丁目の間で、日本橋川に架かる石造りの橋です。2つのアーチをもつ橋で、1911年(明治44年)に完成しました。
江戸時代から、ここは五街道(ごかいどう)の起点とされてきました。今も橋の中央に日本国道路元標(どうろげんぴょう)があり、国道の起点を示しています。
橋は国の重要文化財に指定されていて、橋の上には青銅(せいどう)でつくられた麒麟(きりん)や獅子(しし)の像が立っています。
歴史・由来
日本橋の最初の橋は、徳川家康(とくがわいえやす)が江戸幕府を開いた1603年(慶長8年)に架けられたとされています。翌1604年(慶長9年)には、日本橋を起点に全国の道のりを測る五街道の仕組みが定められたとされ、橋のまわりは交通や商いの中心として栄えました。
木の橋だった時代は、火事などで焼けることがあり、何度も架け替えられました。
いまの石の橋は、1908年(明治41年)に本工事が始まり、1911年(明治44年)3月28日に完成して、4月3日に開通式が行われました。国の文化財の解説では、橋の設計は米元晋一(よねもとしんいち)、装飾は妻木頼黄(つまきよりなか)が担当したとされています。麒麟と獅子の像をつくったのは、彫刻家の渡辺長男(わたなべおさお)だと国土交通省の資料にあります。親柱(おやばしら)に刻まれた橋名は、最後の将軍だった徳川慶喜(とくがわよしのぶ)が書いたものです。
昭和38年(1963年)には、橋の真上を首都高速道路が通るようになりました。そのころ橋の中央には、都電(とでん)の架線を支える柱を兼ねた東京市道路元標が立っていましたが、昭和40年代に都電が廃止されたのにともなって、橋の北西のたもとの広場へ移されました。昭和47年(1972年)には、橋の中央に、当時の首相だった佐藤栄作(さとうえいさく)の書による日本国道路元標が埋め込まれました。
1996年から1998年(平成8年から10年)に大きな修復が行われ、1999年(平成11年)5月13日に、橋は国の重要文化財に指定されました。修復のときに外された麒麟像の右の鰭(ひれ)などの4点は、2000年(平成12年)4月1日に中央区の区民有形文化財に登録され、中央区郷土資料館にあります。
近年は、橋の上を通る首都高速道路を地下へ移す事業が進められています。
見どころ・特徴
【橋の姿をじっくり見る】
石でつくられた二連(にれん)のアーチ橋で、長さは約49メートル、幅は約28メートルです。国の文化財の解説では、ルネサンス式の橋の本体に、和風・中国風・西洋風を取り合わせた装飾がよくなじんでいる、と紹介されています。装飾に使われた材料は、すべて青銅です。
橋の中央と、橋のはしの四隅には、花形のランプがついた柱が立ち、それぞれの柱の根もとに、うずくまった姿の麒麟がいます。柱には、街道の目印だった一里塚(いちりづか)にちなむ松と榎(えのき)の模様が浮き彫りにされています。
【麒麟と獅子】
麒麟は中国の伝説の動物で、ふつうは羽や鰭がありませんが、日本橋の麒麟には羽と鰭があります。橋と地域がさらに発展するようにとの願いが込められている、と国土交通省の資料にあります。獅子の像は橋の四隅にあり、橋を守る願いが込められていると紹介されています。東京市の紋章(市章)をかかえた姿の獅子もいます。
【文化財の範囲を知る】
国の重要文化財に指定されているのは、橋の本体(高欄と青銅製の照明灯を含む)です。附(つけたり)として、東京市道路元標もいっしょに指定されています。
橋の中央の日本国道路元標は、国の指定の記載には出てきません。道路の起点を示す、いまも使われている印として橋の中央に埋め込まれています。
【道路元標を探す】
橋の中央の車道には、日本国道路元標と刻まれたプレートがあります。橋の北西のたもとには、街灯のような形をした東京市道路元標が立っています。かつては橋の中央にあり、都電の架線を支える柱を兼ねていました。
【川と船】
江戸時代から、橋の下を船が行き来していました。橋の北側には、江戸の魚の取引の中心だった魚市場(魚河岸)があり、関東大震災のあと築地へ移りました。いまは日本橋川に日本橋船着場があり、2011年に開設されました。
【首都高と空】
首都高速道路の都心環状線は、東京オリンピックの前年の1963年12月に日本橋川の上を通って開通しました。建物が多い都心では土地を確保しにくく、川や道路の上が使われたためです。橋のまわりの景観への影響は、長く話し合われてきました。
いまは、神田橋ジャンクションから江戸橋ジャンクションまでを地下ルートでつなぐ事業が進んでいます。2020年に事業が認可され、地下ルートは2035年度、高架橋の撤去は2040年度までに終える予定とされています。工事の進み具合によって変わる場合があります。
【周辺を歩く】
橋の北側は、江戸時代から魚河岸でにぎわった一帯です。中央区の日本橋地域の案内では、日本橋三越本館、日本銀行本店本館、石町時の鐘(いしちょうときのかね)などが見どころとして紹介されています。
学び・特徴
指定・選定
国指定重要文化財(建造物)。1999年(平成11年)5月13日指定。附(つけたり)として東京市道路元標が指定されています。
別に、橋柱の装飾品である「日本橋の橋柱装飾品青銅製麒麟像鰭及び附属品」4点が、2000年(平成12年)4月1日に中央区の区民有形文化財に登録されています。
成立・年代
初代の橋は、慶長8年(1603)に架けられたとされています。現在の橋は1911年(明治44年)に完成しました。
基本情報
住所
東京都中央区日本橋一丁目と日本橋室町一丁目の間(日本橋川に架かる橋)
アクセス
東京メトロ銀座線・東西線と都営浅草線の日本橋駅、東京メトロ銀座線の三越前駅などが最寄り駅として案内されています。徒歩の時間は地図でご確認ください。
訪問記録
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