この寺について
兵庫県三田市の東光山(とうこうざん)の山上、標高およそ395メートルに建つ真言宗の寺。西国三十三所(さいごくさんじゅうさんしょ)の番外札所(ばんがいふだしょ)で、巡礼を今の形にひろめた花山法皇(かざんほうおう)が晩年を過ごしたと伝わる。寺の名は法皇のおくり名「花山院」に由来する。境内には法皇の御廟(ごびょう)があり、麓の集落には法皇を慕って京から来た女性たちの墓と伝わる「十二妃(じゅうにひ)の墓」が残る。展望台からは有馬富士(ありまふじ)や三田の街並み、晴れた日には瀬戸内海まで見渡せる。
歴史・由来
【この寺を理解する鍵】
花山院菩提寺は「西国三十三所の第○番」ではない。番外札所という、番号のつかない札所である。では何のための寺かというと、西国三十三所という巡礼そのものを世に広めた人の、最期の場所なのだ。巡礼を始めた人の物語が終わるところ。だからここは番号の外にある。
【花山法皇という人】
第65代の花山天皇は、寛和2年(986年)、19歳という若さで位を退き、出家して法皇となった。在位はわずか2年ほどだった。その後、諸国をめぐって三十三か所の観音霊場を巡ったと伝えられ、これが西国三十三所巡礼の始まりとされる。法皇は「巡礼の中興の祖(ちゅうこうのそ)」と呼ばれている。
【なぜこの山だったのか】
寺伝によれば、この地に寺を開いたのは法道仙人(ほうどうせんにん)で、白雉(はくち)2年(651年)のことという。法道仙人はインドから紫雲(しうん)に乗って飛んできたと伝わる伝説上の人物で、播磨(はりま、今の兵庫県南西部)一帯に開山の伝説を残している。
そこへ花山法皇が現れる。正暦(しょうりゃく)3年(992年)ごろ、巡礼の途中で播磨の清水寺(きよみずでら)に登った法皇が、東の山の上が光り輝くのを見て、その地を訪ねたのがこの山だった——というのが寺に伝わる話である。法皇はここを隠棲(いんせい)の地と定めた。
【十二妃の墓と琴弾坂】
三田市に伝わる民話では、京から法皇を慕って11人の女官(にょかん)が追ってきた。しかしこの山は女人禁制(にょにんきんせい)で、山上には入れない。彼女たちは尼となって麓に住み、立ち入りを許された坂の途中まで登って琴を弾き、法皇を慰めたという。この参道が「琴弾坂(ことひきざか)」と呼ばれるようになった。
彼女たちが住んだことから、この集落は「尼寺(にんじ)」と呼ばれるようになった。今の住所そのものである。集落の中央の丘には、法皇の妃であった弘徽殿(こきでん)の女御(にょうご)と11人の女官の墓と伝わる大小12基の墓が残り、「十二妃の墓」と呼ばれている。合わせて12人。これが地名と墓の由来として語り継がれてきた。
なお、これは三田市教育委員会がまとめた民話であって、史実として確かめられたものではない。そう断ったうえで読むほうが、かえってこの土地の記憶の厚みが伝わると思う。
【法皇の最期】
花山法皇は寛弘(かんこう)5年(1008年)2月8日、京都の花山院で41歳で亡くなった。境内にはその御廟として宝篋印塔(ほうきょういんとう)が立つ。寺の名「菩提寺」は、文字どおり法皇の菩提(ぼだい、死後の冥福)を祈る寺という意味である。
見どころ・特徴
【展望台からの眺め】この寺の一番の見どころ。山上の展望台からは、有馬富士(標高374メートル、きれいな円錐形の山)を正面に、三田の市街地、条件がよければ瀬戸内海まで見渡せる。秋から冬にかけての早朝は雲海が出ることがある。御詠歌(ごえいか)の「有馬富士ふもとの霧は海に似て 波かときけば小野の松風」は、まさにこの景色をうたったものとされる。
【花山法皇御廟】境内中央にある宝篋印塔が花山法皇の墓と伝わる。西国三十三所を巡る人にとっては、巡礼の始まりをつくった人に直接手を合わせられる唯一の場所になる。
【十二妃の墓】山上ではなく、麓の尼寺集落の丘にある。大小12基の墓が並び、中央の大きなものが弘徽殿の女御の墓とされる。境内からは離れているので、行くなら参道を登る前後に立ち寄る形になる。
【幸せの七地蔵尊】ブロンズ製の地蔵菩薩立像が7体並ぶ。比較的新しいもので、参拝者がひとつずつ手を合わせて回れる。
【絹本著色花山法皇像】三田市指定の文化財(昭和62年〈1987年〉12月28日指定、1幅)。出家した後の姿の花山法皇を描いた掛軸で、椅子に座る姿が描かれている。常時公開されているわけではないので、見たい場合は事前に寺へ問い合わせを。
【参道は登り坂】バス停から山上までは徒歩20〜25分の登りになる。車で上がれる参道もあるが有料。歩きやすい靴で行くこと。山上の寺は静かで、観光地のような賑わいはない。番号のつかない札所なので巡礼者の数も三十三の札所より少なく、落ち着いて過ごせる。
年中行事・お祭り
【写経会】不定期
【除夜の鐘】例年12月31日
この寺は定例の大きな祭礼を公表していない。行事の予定は寺の公式サイトで告知されるので、参加したい場合はそちらを確認してほしい。
開催日・開催有無・時間は変更される場合があります。お出かけ前に必ず公式サイトでご確認ください。
※ 開催日・開催有無は必ず公式サイトでご確認ください。
学び・特徴
主祭神
薬師瑠璃光如来十一面観音
社格
真言宗花山院派 本山/西国三十三所 番外札所/西国薬師四十九霊場 第21番
創建
白雉2年(651年)、法道仙人の開山と伝わる。正暦3年(992年)ごろ、花山法皇が入山し隠棲の地とした。
ご利益
健康・病気平癒厄除け
テーマ
山・登拝夜景・眺望紅葉
基本情報
住所
兵庫県三田市尼寺352
参拝時間
夏季(3月〜10月)9:00〜17:00 ※入山は16:30まで
冬季(11月〜2月)9:00〜16:30 ※入山は16:00まで
拝観料:無料
御朱印:納経所(薬師堂)にて授与。西国三十三所の本尊御朱印と御詠歌御朱印がある。
※開門を8:00とする資料もあります。朝いちばんに行く場合は寺へ確認を。
⚠️ 情報が古い場合があります。最新の受付時間は公式サイト等でご確認ください。
アクセス
【バス】JR福知山線(宝塚線)「三田駅」から神姫バス「乙原(おちばら)バレイ行き」に乗車、約20分。「花山院」バス停で下車し、山上まで徒歩20〜25分の登り坂。
【車】中国自動車道「神戸三田インターチェンジ」から約20〜25分。
【参道通行料】山上まで車で上がる場合、参道は有料。自家用車・タクシー500円、マイクロバス1,500円、中型バス2,000円。
【駐車場】山上に駐車場あり(参道通行料を払えば駐車自体は無料)。県道沿いにも数台分の駐車スペースがある。
【最寄り駅】直線距離ではJR「新三田駅」のほうが近いが、バス路線は三田駅発なので、公共交通で行くなら三田駅から。
記念メダル
スポットの近く(200m 以内)で位置情報を有効にしてチェックインすると獲得できます。
参拝記録
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