この寺について
笛吹市春日居町の山の中腹にある真言宗智山派(しんごんしゅうちさんは)の古い寺。山号は菩提山(ぼだいさん)、読みは「ちょうこくじ」。寺に伝わる話では養老(ようろう)6年(722年)に行基(ぎょうき)が開いたとされ、平安時代の後半には「千坊」と呼ばれるほど多くの建物が立ち並んだという。本尊の十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ)は女性の願いをよく聞く仏として信仰され、この寺は「女人高野(にょにんこうや)」とも呼ばれてきた。本堂までは約500段の石段が続き、登りきると甲府盆地を見渡せる。甲斐三十三観音霊場(かいさんじゅうさんかんのんれいじょう)の第14番札所。
歴史・由来
【この寺を理解する鍵】
今この寺を訪ねると、山の中に石段と本堂があるだけに見える。けれどこの山はかつて「千坊」と呼ばれ、山の上から麓の平地まで建物がびっしりと並んでいた。その面影は、参道の脇に散らばる石仏や五輪塔(ごりんとう)に残っている。石段を登りながらそれらを見ていくと、消えた大寺院の輪郭がうっすら見えてくる。この寺は、失われたものの大きさを足で確かめる場所である。
【行基が開いたと伝わる】
寺伝によると、開かれたのは養老6年(722年)。奈良時代に各地で橋や池を造り、人々に慕われた僧・行基によるという。その後、延暦(えんりゃく)年間(782年から806年)に空海(くうかい)がこの地を訪れ、真言宗に改めたと伝えられる。いずれも寺に伝わる話で、史料で確かめられたものではない。
【千坊と呼ばれた時代】
平安時代の後半、この寺は修験道(しゅげんどう)と真言密教の中心的な道場として大きく栄えた。周囲の山々だけでなく麓の平地にまで建物が広がり、「千坊」と称されたという。寺のある場所の字名(あざめい)が今も「菩提(ぼだい)」であることに、その時代の名残がある。
【二度の焼失と再建】
しかし栄華は続かなかった。安元(あんげん)2年(1176年)、勝沼の大善寺(だいぜんじ)との争いで伽藍(がらん、寺の建物群)が焼け落ちる。さらに天正(てんしょう)10年(1582年)、織田信長の甲州征伐(こうしゅうせいばつ)で武田氏が滅んだとき、堂宇(どうう)は焼き払われた。
今ある姿につながるのは、享保(きょうほう)7年(1722年)の再建である。甲府藩主だった柳沢吉里(やなぎさわよしさと)の手によるものと伝わる。行基の開創からちょうど千年後にあたる。
【女人高野と呼ばれて】
本尊の十一面観世音菩薩は、女性の願いに応える仏とされてきた。高野山が長く女性の立ち入りを許さなかったのに対し、この寺は女性の参詣を受け入れたことから「女人高野」と呼ばれる。参道に置かれた「胎内くぐりの石」は、妊婦がくぐると安産になると言い伝えられてきたもので、その信仰が形になって残っている。
見どころ・特徴
【約500段の石段】参道はひたすら石段である。登りきったところに本堂が建つ。秋には周囲が紅葉に染まり、石段を登ること自体が目当てになる季節でもある。
【胎内くぐりの石】直径37.7センチの穴があいた石。妊婦がくぐり抜けると安産になると伝えられてきた。この寺が「女人高野」と呼ばれる由来を、目で見て確かめられる場所。
【石造仁王像】かつて山門が立っていた場所の両脇に、石でつくられた仁王像(におうぞう)が残る。建物は失われたが、門を守る像だけが今も同じ位置に立っている。
【散らばる石塔と石仏】境内には五輪塔・宝篋印塔(ほうきょういんとう)・供養塔・石仏が数多く散在している。血の池、幼霊石、賽(さい)の河原、関の地蔵、御廟橋(ごびょうばし、梵字橋)といった場所の名も残る。「千坊」と呼ばれた時代の広がりを、歩きながら感じ取れる。
【展望デッキからの甲府盆地】本堂の先にある展望デッキからは甲府盆地が一望できる。石段を登った先に開ける眺めなので、休憩を兼ねて立ち寄りたい。
【訪ねかた】石段が長いので、歩きやすい靴と、時間に余裕を持った計画をおすすめする。紅葉の時季と、盆地が澄んで見える冬晴れの日が、とくに気持ちよく登れる。
学び・特徴
主祭神
十一面観世音菩薩
社格
真言宗智山派/甲斐三十三観音霊場 第14番札所/笛吹市指定文化財(史跡)
創建
寺伝では養老6年(722年)に行基が開創。延暦年間(782年から806年)に空海が真言宗に改めたと伝わる。享保7年(1722年)に柳沢吉里によって再建。
ご利益
子宝・安産厄除け
テーマ
山・登拝紅葉夜景・眺望
基本情報
住所
山梨県笛吹市春日居町鎮目3681
参拝時間
石段を登って参拝する山寺で、拝観料・拝観時間の公表はありません。
御朱印の授与はありますが、受付の時間は公表されていないため、確実に受けたい場合は寺へ直接お問い合わせのうえ訪ねてください。
⚠️ 情報が古い場合があります。最新の受付時間は公式サイト等でご確認ください。
アクセス
【車】中央自動車道「一宮御坂(いちのみやみさか)インターチェンジ」が最寄インター。
【公共交通】JR中央本線「春日居町駅」「石和温泉駅」が近いが、寺までの路線バス経路は公表されていないため、駅からはタクシーの利用が確実です。
【駐車場】有無が公表されていないため、事前に寺または笛吹市観光物産連盟へご確認ください。
【参道】本堂までは約500段の石段。車で本堂まで上がることはできません。
記念メダル
スポットの近く(200m 以内)で位置情報を有効にしてチェックインすると獲得できます。
参拝記録
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