この寺について
東京都台東区の竜泉(りゅうせん)にある天台宗系の寺。正式には龍光山三高寺正寶院(りゅうこうざん さんこうじ しょうぼういん)といい、ふつうは「飛不動(とびふどう)」と呼ばれる。享禄3年(1530)の創建。名前の由来は、住職が本尊の不動明王像を持って大和国(今の奈良県)の大峰山(おおみねさん)へ修行に行ったところ、像が一夜のうちにこの寺へ飛んで帰ってきたという言い伝えによる。江戸時代にはすでに「飛不動」の通称で知られ、旅の安全を守る仏、災いを飛ばしてくれる仏として信仰を集めた。そして昭和以降、この「飛ぶ」という由来から航空安全の守り神として知られるようになり、今では飛行機に関わる人たちが多く訪れる。関東三十六不動霊場の第24番、下谷(したや)七福神の恵比寿神も祀る。慶安3年(1650)の木造阿弥陀如来坐像は台東区の有形文化財。
歴史・由来
この寺を理解する鍵は、「五百年前の言い伝えが、そのまま現代の信仰になった」という点にある。
創建は享禄3年(1530)。室町時代の終わりごろで、当時この寺は修験道(しゅげんどう)の寺だった。修験道は山に籠もって厳しい修行をする信仰で、その修行者を山伏(やまぶし)という。
寺の名前の由来になった出来事は、その修行にまつわる。当時の住職が、本尊の不動明王像を背負って大和国(今の奈良県)の大峰山(おおみねさん)へ修行に出かけた。大峰山は修験道でいちばん重要な修行の山である。ところが、その像が一夜のうちにこの寺へ飛んで帰ってきた——そう伝えられている。以来、この不動明王は「飛不動」と呼ばれるようになった。
言い伝えとしては不思議な話だが、当時の人々はこれを「この仏さまは遠く離れていても駆けつけてくれる」と受け取った。だから飛不動は、旅に出る人が道中の無事を願う「旅人の守り本尊」になり、同時に災いを遠くへ飛ばしてくれる「厄飛ばし(やくとばし)のお不動さま」にもなった。江戸時代前期にはすでに広く知られ、庶民の祈願所としてにぎわった。
転機は昭和である。飛行機という乗り物が普及すると、「飛ぶ」という名を持つこの不動明王に、航空関係者が注目した。パイロットや客室乗務員、航空会社の人々が安全を願って参拝するようになり、台東区も「航空安全の守護神」として紹介している。五百年前の伝説が、空を飛ぶ時代になって新しい意味を持ちはじめたわけである。
寺は宗派の上でも変遷をたどった。もとは修験道の本山派(ほんざんは)に属する寺院で、のちに天台宗寺門派(じもんは、現在の天台寺門宗)に属し、現在は特定の宗派に属さない単立寺院となっている。
境内には、慶安3年(1650)6月に造られた木造阿弥陀如来坐像が伝わる。ヒノキ材を寄木造(よせぎづくり)という技法で組み上げた像高52センチの像で、平安時代後期に活躍した仏師・定朝(じょうちょう)の様式をお手本にしながら、構造には江戸時代らしい特徴もあらわれている。銘文(めいぶん)があって作られた年がはっきりわかる点が貴重で、平成10年度に台東区の有形文化財として登載された。
下町の住宅街のなかにある、決して大きくはない寺である。それでも五百年のあいだ名前を変えず、信仰の中身だけを時代に合わせて広げてきた。
見どころ・特徴
【飛不動という名前】この寺のすべてがこの名前に詰まっている。住職が大峰山へ持っていった不動明王像が、一夜で飛んで帰ってきた——その伝説から生まれた呼び名である。名前の由来を知ってから本堂の前に立つと、見えるものが変わる。
【航空安全の信仰】「飛ぶ」という名にちなんで、昭和以降は航空安全の守り神として信仰を集めている。台東区も「航空安全の守護神」と紹介しており、飛行機に関わる人や、飛行機での旅を控えた人が訪れる。
【厄飛ばしのお不動さま】災いを遠くへ飛ばしてくれる、という信仰も古くからある。旅の無事を願う「旅人の守り本尊」と合わせて、江戸時代の庶民に親しまれてきた性格である。
【木造阿弥陀如来坐像】台東区の有形文化財(平成10年度登載)。慶安3年(1650)6月の作で、像高52センチ。ヒノキ材の寄木造(よせぎづくり)で、来迎印(らいごういん)を結んで足を組んで座る姿。平安時代後期の仏師・定朝(じょうちょう)の様式を手本にしつつ、江戸時代らしい構造も見せる。銘文があって制作年がはっきりわかる点が貴重である。
【下谷七福神の恵比寿神】下谷(したや)七福神のひとつとして恵比寿神を祀る。正月1日から7日までの七福神めぐりの期間に開帳される。
【関東三十六不動霊場 第24番】関東一円の不動尊をめぐる霊場の24番札所。この寺は霊場会の窓口も務めている。
【訪ねかた】下町の住宅街のなかにあり、境内は広くない。静かに手を合わせて帰る参拝が似合う場所である。近くには浅草や吉原にまつわる旧跡が点在しているので、樋口一葉(ひぐちいちよう)記念館や鷲神社(おおとりじんじゃ)とあわせて歩くと、竜泉という土地の来歴が立体的に見えてくる。
年中行事・お祭り
【下谷七福神めぐり】例年1月1日から7日ごろ。この期間、恵比寿神が開帳される。下谷の七つの寺社をめぐる正月の行事で、飛不動は恵比寿神を担当する。
開催日・開催有無・時間は変更される場合があります。お出かけ前に必ず公式サイトでご確認ください。
※ 開催日・開催有無は必ず公式サイトでご確認ください。
学び・特徴
主祭神
不動明王
社格
天台宗系単立。正式には龍光山三高寺正寶院。もとは修験道本山派の寺院で、のちに天台宗寺門派(現・天台寺門宗)に属した。関東三十六不動霊場第24番、下谷七福神の恵比寿神。木造阿弥陀如来坐像は台東区有形文化財(平成10年度登載)。
創建
享禄3年(1530)の創建。住職が本尊の不動明王像を背負って大和国の大峰山へ修行に赴いたところ、像が一夜にして当地へ飛び帰ったという伝承から「飛不動」と呼ばれる。
ご利益
交通安全厄除け
テーマ
七福神霊場札所修験道
この場所を巡る軸
霊場・巡礼
基本情報
住所
東京都台東区竜泉3-11-11
参拝時間
境内は参拝できます。台東区の観光案内では受付を9時から17時までとしています。御朱印は不動明王と、下谷七福神の恵比寿神の授与があります。恵比寿神が開帳されるのは正月の七福神めぐりの期間です。御朱印や御祈祷を希望する場合は、事前に寺へお問い合わせのうえお出かけください。時間は変更される場合がありますので、公式サイトでご確認ください。
⚠️ 情報が古い場合があります。最新の受付時間は公式サイト等でご確認ください。
アクセス
東京メトロ日比谷線・三ノ輪駅から徒歩約8分。つくばエクスプレス・浅草駅からは徒歩約13分です。都営バスや台東区の循環バス「北めぐりん」も利用できます。下町の住宅街のなかにあるので、地図を見ながら向かってください。参拝者用の駐車場については公式の案内がないため、公共交通機関での参拝をおすすめします。
公式サイト
記念メダル
スポットの近く(200m 以内)で位置情報を有効にしてチェックインすると獲得できます。
参拝記録
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