この神社について
京都府福知山市の大江町(おおえちょう)にある、天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀る神社。
伊勢神宮(三重県)にお祀りされるより前、天照大神の神鏡(しんきょう=ご神体の鏡)が一時ここに置かれたと伝えられ、「元伊勢(もといせ)」と呼ばれている。杉の巨木が立ち並ぶ薄暗い参道を登りきると、皮をはがない丸太をそのまま使った「黒木鳥居(くろきとりい)」が現れる。
全国でもほとんど例のない、鳥居のいちばん古い形である。本殿は茅葺(かやぶき)の神明造(しんめいづくり)で、その両脇に脇宮2社、周囲をコの字に囲んで83社もの小宮が並ぶ。近くの豊受大神社(とゆうけだいじんじゃ、元伊勢外宮)、天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)とあわせて「元伊勢三社」と呼ばれる。神社から天岩戸神社へ向かう途中には、神が降りたとされる禁足地・日室ヶ嶽(ひむろがたけ)を拝む遙拝所(ようはいじょ)がある。境内は自由に参拝でき、拝観料はかからない。
歴史・由来
この神社を理解する鍵は、「伊勢神宮が伊勢に落ち着くまでの、長い旅の途中」だという点にある。
天照大神は、もともと天皇の住む宮殿の中で祀られていた。それを宮殿の外に出し、ふさわしい場所を探して各地を巡ったという話が、『日本書紀』や『倭姫命世記(やまとひめのみことせいき)』に記されている。まず第10代・崇神天皇(すじんてんのう)が、皇女の豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)に神鏡(しんきょう)を託して大和の外へ送り出した。その次の代では倭姫命(やまとひめのみこと)が引き継ぎ、最後に伊勢にたどり着いて、そこに伊勢神宮が建てられた。
この旅の途中で一時的に神鏡が祀られた場所を、後の世の人は「元伊勢(もといせ)」と呼ぶようになった。全国に何か所もあり、丹後・丹波にもいくつか候補地がある。その中でもよく知られているのが、この皇大神社である。
『倭姫命世記』には、崇神天皇39年に豊鍬入姫命が「吉佐宮(よさのみや)」を建て、4年間そこで天照大神を祀ったという記述がある。この吉佐宮の跡地がここだ、というのが皇大神社の伝えである。観光案内などで「伊勢神宮より54年前」と紹介されるのは、この伝承にもとづく数え方による。
ただし、これは歴史の記録ではなく伝承である。崇神天皇の時代を実際の西暦に置き換えることはできず、吉佐宮がここだったと証明する史料もない。元伊勢を名乗る場所が各地にあるのも、そのためである。それでも、この土地が古くから特別な場所として扱われてきたことは確かで、社殿が建てられたのは元明天皇(げんめいてんのう)の時代(707〜715年)と伝えられている。
この神社が実際に訪れる人の心をつかむのは、伝承の真偽よりも、その場所の空気である。杉の巨木が両側から覆いかぶさる参道。皮もはがない丸太を組んだだけの鳥居。茅葺の本殿を83社の小宮がぐるりと囲む配置。どれも「古い形をそのまま残している」というより、「飾ることをそもそも考えていない」という印象を与える。
すぐ近くには、外宮にあたる豊受大神社と、天岩戸神話にちなむ天岩戸神社がある。この三社をあわせて元伊勢三社と呼び、歩いて回ることができる。伊勢神宮の内宮・外宮の関係が、そのままこの山あいに写し取られているわけである。
見どころ・特徴
【黒木鳥居(くろきとりい)】この神社いちばんの見どころ。杉の丸太から皮をはがず、そのまま立てた鳥居で、鳥居の形式としては最も原始的なもの。全国でもほとんど残っていない。塗装も加工もされていない木がそのまま立っている姿は、「神社の入口」という感覚を根本から揺さぶってくる。
【杉並木の参道】境内へ向かう石段の両側を、杉の巨木が覆う。昼でも薄暗く、上りきるまでずっと木の下を歩くことになる。この参道があるから、鳥居に出たときの印象が強くなる。
【本殿】茅葺(かやぶき)の神明造(しんめいづくり)。伊勢神宮と同じ系統の形式で、直線的で飾りの少ない造り。屋根が茅葺であることも、今となっては貴重である。
【脇宮2社と83社の小宮】本殿の両脇に脇宮が2社、その周囲をコの字に囲んで83社の小宮が並ぶ。これだけの数の社がひとつの境内に整然と配置されている神社は多くない。ひとつずつ見て回ると、それだけで時間が過ぎる。
【御神木の杉】麻呂子親王(まろこしんのう)が植えたと伝わる「麻呂子杉」が本殿の両脇に、「龍燈の杉(りゅうとうのすぎ)」と呼ばれる巨木も境内にある。龍燈の杉は樹齢二千年とも伝えられ、雷や火災をくぐり抜けてきた姿をしている。
【日室ヶ嶽遙拝所(ひむろがたけようはいじょ)】皇大神社から天岩戸神社へ向かう途中にある。正面に見える円錐形の美しい山が日室ヶ嶽(岩戸山)で、神が降りたとされる禁足地。人は立ち入れないので、離れた場所から拝む。地元では「一願さん(いちがんさん)」と呼ばれ、願いを一つだけかけると叶うと言い伝えられている。夏至の日には、この山の頂に太陽が沈むのが見られるという。
【元伊勢三社めぐり】この神社(内宮)と、豊受大神社(外宮)、天岩戸神社の三社を歩いて回れる。天岩戸神社は宮川の渓谷沿いにあり、拝殿へ上がるには岩場を鎖につかまってよじ登る。三社の性格がそれぞれまるで違うので、時間があるならぜひ三つとも訪ねてほしい。
【冬至のライン】海の京都観光圏の紹介では、この場所と伊勢神宮が冬至の日の出のラインで結ばれるとも言われている。確かめようのある話ではないが、そう語られてきたこと自体が、ここが「伊勢とつながる場所」と信じられてきた証拠ではある。
【参道は石段が続く】駅から歩くうえに、境内へは長い石段を登る。夏場は汗をかくし、雨の日は滑る。歩きやすい靴で行ってください。
年中行事・お祭り
【八朔祭(はっさくまつり)】例年9月1日。大名行列を模した「練込(ねりこみ)」と呼ばれる神事が行われる。
開催日・開催有無・時間は変更される場合があります。お出かけ前に必ず公式サイトでご確認ください。
※ 開催日・開催有無は必ず公式サイトでご確認ください。
学び・特徴
主祭神
天照大神(あまてらすおおみかみ)
社格
天照大神を祀る元伊勢の伝承地のひとつ。豊受大神社(元伊勢外宮)、天岩戸神社とあわせて元伊勢三社と呼ばれる。
創建
創建年は不詳。『倭姫命世記』に、崇神天皇39年に豊鍬入姫命が吉佐宮を建て4年間天照大神を祀ったとあり、その跡地と伝わる。社殿の建立は元明天皇の時代(707〜715)と伝えられる。
ご利益
心願成就
テーマ
元伊勢巨木・御神木磐座・禁足地
基本情報
住所
京都府福知山市大江町内宮217
参拝時間
境内は拝観自由で、拝観料はかかりません。御朱印・お守りの授与や御祈祷の受付は8:00〜16:00が目安ですが、常時対応しているとは限りません。確実に受けたい場合は事前に神社へお問い合わせのうえお出かけください。境内へは長い石段を登るので、日没後の参拝は避けてください。
⚠️ 情報が古い場合があります。最新の受付時間は公式サイト等でご確認ください。
アクセス
京都丹後鉄道宮福線・大江山口内宮駅から徒歩15〜20分。同じ宮福線の大江駅からは福知山市営バスで約10分、「内宮上」バス停下車、徒歩13分です。車の場合は京都縦貫自動車道・舞鶴大江ICから約20分。駐車場は有料です。元伊勢外宮の豊受大神社は大江高校前駅が最寄り、天岩戸神社は皇大神社から徒歩で行けるので、三社をまとめて回るなら歩く時間を多めに見ておいてください。
記念メダル
スポットの近く(200m 以内)で位置情報を有効にしてチェックインすると獲得できます。
参拝記録
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