この城について
出雲を中心に中国地方一帯へ勢力を広げた戦国大名・尼子氏が、約170年にわたって本拠とした山城。標高約190メートルの月山(がっさん)に築かれた広大な山城で、「日本五大山城」の一つに数えられる。永禄9年(1566)、毛利元就(もうりもとなり)の攻撃を受け、約1年半に及ぶ籠城戦の末に開城し、戦国大名としての尼子氏はここに滅亡した。
歴史・由来
この城を理解する鍵は、山陰の覇者・尼子(あまご)氏の興亡そのものが、この山に刻まれているという点にある。
築城については二つの言い伝えがある。地元に伝わる伝承では、平安末期の武将・平景清(たいらのかげきよ)が築いたとされるが、史実として確認できるのは承久3年(1221)頃、承久の乱後に出雲・隠岐の守護となった佐々木義清(ささきよしきよ)がこの地に拠点を構えたことである。その後、室町幕府の出雲守護は佐々木氏の流れをくむ京極(きょうごく)氏へと移り、尼子氏はその守護代(守護の代理)として台頭していく。
尼子氏がこの城を本拠として名を上げるのは、尼子経久(あまごつねひさ、長禄2年/1458〜天文10年/1541)の代からである。経久は一時この城を追われるが、文明18年(1486)の正月、味方とともに城内に忍び込み、正月の祝いに乗じて敵の油断を突いて火を放ち、城を奪い返したという劇的な逸話が伝わる。以後、経久は出雲を足がかりに勢力を広げ、最盛期には山陰・山陽の広い範囲に影響力を及ぼす大大名へと成長した。
経久の孫・尼子晴久(はるひさ)の代にも尼子氏は繁栄を保ったが、晴久の死後、跡を継いだ尼子義久(よしひさ)の代になると、中国地方でもう一人の雄・毛利元就との対立が激化する。永禄8年(1565)4月、毛利軍はついに月山富田城そのものを包囲。城方は兵糧攻めによって次第に追い詰められ、翌永禄9年(1566)11月21日、義久はついに降伏を決意した。同28日、義久ら尼子一族は城を出て安芸国(現在の広島県)へ送られ、戦国大名としての尼子氏はここに滅亡した。
この後、月山富田城は毛利氏の支配下に入るが、関ヶ原の戦いの後、出雲に入った堀尾(ほりお)氏が新たに松江城を築いて本拠を移すと、約170年にわたって出雲の中心であったこの城は、その役目を終えて廃城となった。
見どころ・特徴
【山城の縄張りを歩く】
山麓の「尼子神社」から本丸まで、徒歩約40分の山道が整備されている。途中には「七曲がり」「山中御殿(さんちゅうごてん)」「三日月公園(みかづきこうえん)」など、かつての郭(くるわ、城の区画)の跡が続き、戦国時代の山城ならではの防御の工夫を歩きながら体感できる。
【本丸からの眺め】
本丸跡からは、安来市街や中海(なかうみ)、大山(だいせん)まで見渡せる。かつて尼子氏の家臣たちも目にしたであろう眺望が、今も残る。
【山中鹿介幸盛の像】
尼子氏の忠臣として知られる山中鹿介幸盛(やまなかしかのすけゆきもり)を顕彰する銅像が立つ。主家の再興を月に祈り「願わくば我に七難八苦を与えたまえ」と唱えたという逸話で知られる、戦国時代を代表する悲劇の武将の一人である。
【歴史を学べる資料館】
麓の安来市立歴史資料館では、尼子氏の歴史や城の変遷をより詳しく学べる。日本100名城のスタンプもここに設置されている。
【5年に一度の武者行列】
「戦国尼子フェスティバル」という、尼子一族ゆかりの人々が集う武者行列イベントが、5年に一度のペースで開催されている。開催の有無・時期は年によって異なるので、訪れる際は事前に安来市や観光協会のサイトで確認するとよい。
【あわせて訪ねたい】
すぐ近くには、世界的に有名な日本庭園を持つ「足立美術館」があり、あわせて訪れる人が多い。
学び・特徴
社格
国指定史跡(昭和9年/1934年1月22日指定、指定名称「富田城跡」)。日本100名城の65番に選定されている。
創建
伝承では平安末期の武将・平景清によるとされるが、史実として確認できるのは承久3年(1221)頃、出雲・隠岐守護の佐々木義清による在城が最初とされる。
テーマ
日本100名城戦国時代絶景
基本情報
住所
島根県安来市広瀬町富田
見学時間
史跡公園としてどなたでも自由に入場できる(時間の制限なし)。ふもとの安来市立歴史資料館は9時30分から17時までで、火曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始が休館日。
⚠️ 情報が古い場合があります。最新の受付時間は公式サイト等でご確認ください。
アクセス
JR山陰本線「安来」駅からイエローバス広瀬方面行きに乗り、「月山入口」バス停で下車、徒歩約15分の登山道を登る。車の場合は山陰道「安来」インターチェンジから約15分でふもとの安来市立歴史資料館に着く。駐車場はふもとに3か所、中腹に1か所あり、いずれも無料。
記念メダル
スポットの近く(200m 以内)で位置情報を有効にしてチェックインすると獲得できます。
見学記録
記録を確認中...